教養は、いくらあっても困りません!

好奇心のおもむくまま、どーでもいいことから結構タメになることまで、備忘のために書き記します

マカオのカジノでガッカリした話

カジノと言ったら皆さんは何をイメージされるでしょうか。

やはりド派手にラスベガス?それとも格式高くモナコモンテカルロ
私にとってのカジノは、都市がどこであれ、正装した大人の男女が集い、葉巻をくゆらせつつポーカーやバカラに興じる場所、そんなイメージです。
だってスパイ映画(たとえば『007 カジノロワイヤル』)に出てくるカジノって、みんなそういう描写じゃん!?かっこいいじゃん!?

私自身は賭け事には全く興味はありませんが、生来の好奇心から、機会があれば一回カジノをこの目で見てみたいと長年思っておりました。
そこは本当にイメージ通りの場所なのだろうか!?
映画の様に、キリッとブラックタイを締めた訳ありそうな紳士が全財産を賭けたりしているのだろうか!?
もしくは、アウトローがディーラーの目を盗んで大金を掴んで成り上がったりしているのだろうか!?

想像は膨らむばかりです。
が、そうした単なる想像とは訣別し、実際にこの目でカジノを見る機会が人生32年目にしてとうとうやってきました。
果たしてラスベガスか!?
それともモンテカルロか!?!?

…正解はマカオです。
8年振りに香港出張が決まったので、その最終日に無理矢理時間を作ってマカオ行きを詰め込んだのです。
マカオか〜。。なんかラスベガスやモンテカルロに比べると正直小粒な感じは否めないけど、腐っても「東洋のラスベガス」だしな!
きっと私がイメージするようなめくるめくカジノの世界がそこにはあるはず!!

という期待を胸に、香港・尖沙咀からスピードボートに揺られること約1時間。
15年12月某日の朝、マカオに上陸してきましたよ。

上陸後、即カジノへ!!というわけではなく、とりあえず早朝から何も食べてなかったので茶樓の飲茶で腹を満たし、大航海時代の産物である世界遺産なども移動中に横目で流しておきました。

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この写真はアレね。イエズス会の教会の名残り?として有名な薄っぺらい壁(世界遺産)ね。
そして、そんな世界遺産を前にして写真を撮りまくっている人たちは、中国本土からの団体ツアー客さんね。
赤いキャップのおじさん、写り込んじゃってごめん!

香港もそうですが、マカオも中国本土からの観光客が本当に多かった。というか、観光客のほぼ100%が中国本土の人だったと言い切ってもいい感じでした。
彼らの”爆買い”パワーの恩恵にあずかっているのは、日本だけではないということですね。
まあでも、マカオは知らないけど少なくとも香港は、政治的な問題で対中感情が悪化しており、それもあって中国本土からの観光客は減ってるようです?
減っているとはいえ、絶対数としては依然多いわけですが。

さて。
世界遺産もいいですが、私の今回の目的はカジノなわけです。それを忘れてはいかん。
ベネチアンリゾート」という、ホテルとショッピングモールとカジノなどのエンターテイメント空間が一体になった巨大施設(館内に人工運河があり、ベネチアのようにゴンドラで移動できるという成金的発想がウリ。台場のヴィーナスフォートのスケールがでかい版とも言える)がマカオで今最もアツい商業スポットのようだ!というところまでは目星を付けていたのですが、
いかんせん帰国日に無理矢理時間を作っているものですから(その割に飲茶とか世界遺産観光とかしたけど)、時間が無い。

ベネチアンリゾートを一目見てみたいが、それがある場所は香港への帰りのボート乗り場から結構遠い。
行ってはみたものの、カジノ内を大して見ることができず、トンボ帰りになるのではないか…?
ていうか、トンボ帰りならまだいいけど、最悪帰りのボートに乗り遅れるのではないか…?
その結果、飛行機にも乗り遅れるのではないか…?
という懸念から、今回は残念ですがベネチアンリゾートを断念し、ボート乗り場に近い「ホテルリスボア」に行ってみました。

こんな風に書くとリスボアがしょうもない場所のようですが、一応リスボアはマカオでは名の知れた老舗ホテルなわけです。
漢字で書くと葡京酒店。
マカオがポルトガル(漢字表記は葡萄牙)の植民地であったことを伝える、コロニアルな名前を持つ由緒ある(?)ホテルです。
と言っても、香港のペニンシュラシンガポールラッフルズのような格式は全く無いんだけどね。
が、日本の旅番組でも、マカオというと必ずリスボアが一度や二度は映し出されます。それくらいのレベルには有名なわけです。

というわけで、行ってみました、リスボア。

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このキンキンギラギラの建物が目印。
中華圏って、金とか赤とか本当に好きよね。

館内に足を踏み入れてみますと、ホテルとカジノが完全に一体になっており、どこからがホテルなのかがいまいち分からず、建て増しで新館(多分上の写真の金色のビルは新館)とかもできているものですからもう巨大過ぎて本当にどうなっているのかよく分からない!カオス!!という感じでした。

カジノの区画が決められていわけでは無く、あらゆるフロアのあらゆるスペースにルーレットなどの卓やスロットが置いてあるわけです。
そして、あっちのカジノスペースは入り口で荷物検査があるのに、こっちは出入りフリー…なぜだ?みたいな謎や疑問点が沢山ありました。
そんなちっさいことをいちいち気にするような御仁は、そもそもカジノなどに来ないのであろう。

残念ながら内部は撮影禁止でした(当たり前だけど)ので写真はありませんが、あの雑然とした空気、言いしれぬ場末感、うらぶれたムードは、私が求めたカジノのきらびやかなイメージを真っ向から否定するものでした。
ブラックタイやドレスで正装した男女など誰一人居なかった。
居るのは中国本土からのツアー客の庶民的なおじさん、おばさんのみ。
あとは、カジノに来たのにキョロキョロするばかりで賭ける気など毛頭無さそうな小娘(私)だけ。

なんでしょうか、この寂れた温泉街(like熱海。熱海の皆さんすみません)みたいな雰囲気は。
そして、寂れているんだけども、人間の欲の生々しい気配もする。そこもなんだか温泉街と共通する。
ギラギラしていて背徳的だけど、所詮そのギラギラはハリボテでちゃっちい。文字にするならばそんな感じでしょうか。

この雰囲気、温泉街もそうだけど他にも何かに似ている。何だっけ?
マカオから香港に帰るボートの中でウンウン考えた結果、出てきた答えはパチンコ屋さんでした。
パチンコもギャンブルだから、冷静に考えたら似ていて当然なんだけど、片や日本のファストなロードサイド風景の代名詞、片やジェームズ・ボンドの世界と、私の中ではこれまでどうにもパチンコとカジノのイメージが結びついてこなかったんですよ。
それはつまり、私がカジノという言葉に夢を抱きすぎていたということに他ならないのですが。
現実のカジノはあんな感じなのだな…。

いや、昼間(恐らくカジノが盛り上がるのは夜)に一見客でも入れるスペースをチラッと見ただけだし、カジノのポテンシャル(…変な日本語。。)はあんなもんじゃないんだと思うんですが。。
きっとお金持ちたちは、観光客がおいそれと入って来られないスペースで賭け事を楽しむんでしょうし。
我々庶民からシャビーな空間で金を巻き上げ、それをお金持ちたちが楽しむリッチな空間に投資していくのでしょうし。

それにそれに、そもそも行った場所がリスボアだったし。
ベネチアンリゾートならばもっと華やかだったかもしれぬ。
というか、ラスベガスなどでなく、マカオだったのが根本的に間違いだったのかもしれぬ。
と、カジノ一般の名誉のために一応言っておきます。


東京・お台場にカジノを!という話が石原都知事、猪瀬都知事の頃には話題になっておりました(無事立ち消えたけど)が、わたし今回つくづく思いました。
日本には既にパチンコ屋さんがいっぱいあるんだからもうそれでいいじゃん、と。
バカラやポーカーでないとしても、賭け事であることには変わりないじゃん。
じゃあもうそれで良くない?(←雑な意見ですみません)
台場に作ったところで、マカオ以上のものにはならんでしょうし。
ラスベガスやモンテカルロのようになんて、逆立ちしたってなりますまい。
だったらいいよ、わざわざ物議を醸してまで作らなくて。

あーもー今回はつくづくガッカリしたわー。。
私のドキドキを返せ。
そんな気持ちになったマカオ・カジノを訪ねる旅でした。
もう二度とマカオに行くことはあるまい。
皆さんもスパイ映画的なカジノ感を求めているのなら、マカオには(少なくともリスボアには)行っちゃダメです。